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イタリアの高級スーツの生地の特徴とおすすめをチェック

イタリアは、イギリス、アメリカと並ぶスーツ大国のひとつです。イタリア発の高級スーツ生地メーカーには、どのようなところがあるのでしょうか。また、イタリアのスーツには、どのような特徴があるのでしょうか。このページでは、イタリアのスーツについて詳しく解説しています。購入を予定している方は、参考にしてください。 

 

イタリアの高級スーツの生地ブランドはこれがおすすめ

スーツの品質に大きな影響を与えるのが生地です。生地の品質を示す尺度のひとつが「SUPER○○」の「○○」部分。この数字が大きいほど、原毛が細いため、生地はなめらかで上質になります。ただし、大きければよいというものではなく、目的に合わせて使いわけることが重要です。多くの方におすすめできるイタリアの高級スーツ生地ブランドを紹介します。 

 

エルメネジルド・ゼニア (Ermenegildo Zegna)

エルメネジルド・ゼニア (Ermenegildo Zegna) は、イタリアを代表する高級生地メーカーであり、世界的に有名なラグジュアリーブランドです。1910年に創業され、その卓越した品質とエレガントなデザインで広く知られています

 

歴史

エルメネジルド・ゼニアは、1910年に当時18歳だったエルメネジルド・ゼニア青年が父親の織物工場を引き継ぎ、自身が代表となって会社組織化したことから始まりました 創業地は、イタリア北部アルプス山脈のふもとにあるビエッラ州トリヴェロで、この地域は繊維工場が集中していることで知られています

 

生地製造へのこだわり

ゼニアの特徴は、高品質な原料へのこだわりと一貫生産体制にあります。

 

  1. 原料調達: オーストラリアやニュージーランドなどの原産国から、最高品質の原毛を直接買い付けています
  2. 生産プロセス: 紡績、染色、織布、仕上げの整理工程まで、すべて自社工場で一貫して行っています
  3. 水質へのこだわり: ビエッラ州の軟水を使用することで、羊毛の洗浄や染色加工に最適な条件を整えています
  4. 最新技術の導入: 常に最新の紡績機や織機を導入し、品質向上に努めています

ゼニア生地の特徴

エルメネジルド・ゼニアの生地は、以下のような特徴を持っています。

 

  • イタリア生地らしい美しさと英国生地のような堅牢さを兼ね備えている
  • 繊細さや華やかさと質実剛健な面が同居している
  • 上品な光沢感と滑らかな触り心地が特徴的
  • シワ戻りが早く、耐久性に優れている

 

代表的なシリーズ

ELECTA (エレクタ)

1929年に生産が開始され、長年にわたって愛され続けている定番シリーズです。特徴として:

  • イタリア生地と英国生地の良さを併せ持つ
  • ツイーディーな見た目とソフトで膨らみのあるシルエット
  • 比較的重みのある作りで、耐久性が高い

 

ブランドの展開

エルメネジルド・ゼニアは、生地メーカーとしてだけでなく、総合的なファッションブランドとして世界中で展開しています。

 

  • メンズ&レディースのスーツやジャケット、シャツ、ネクタイ、シューズなど幅広いアイテムを製造
  • 世界80カ国以上に進出し、多くのハイブランド(アルマーニ、エルメス、ラルフローレン、ブリオーニなど)にも生地を供給しています。

 

エルメネジルド・ゼニアは、常に品質向上と革新を追求し続けており、世界中のエグゼクティブから高い信頼を得ています。その卓越した品質と伝統、そして革新への姿勢が、ブランドの魅力となっています。

 

ロロ・ピアーナ (Loro Piana)

ロロ・ピアーナ(Loro Piana)は、1924年にピエトロ・ロロ・ピアーナによって北イタリアのトリベロで設立された高級テキスタイルメーカーおよびファッションブランドです

 

歴史

ロロ・ピアーナは、カシミヤやビキューナといった最高級素材を扱うことで知られています1980年代には自社ブランドを立ち上げ、アパレル分野に進出しました

特筆すべき点として、1980年代に絶滅の危機に瀕していたビキューナを保護するため、ペルーへの投資を開始しました。また、アルゼンチンや中国などの原産地に対しても、持続可能な本格的なサポートを行っています

 

素材へのこだわり

ロロ・ピアーナの代表的な素材には以下のようなものがあります:

  1. カシミヤ:中国アラシャン地方の理想的な環境で暮らす群れから厳選されたものを使用
  2. ビキューナ:2年に1度春にしか毛刈りが行われず、1頭から採取できる繊維はわずか200gです。コート1枚を作るために約35頭分の繊維が必要となります

 

製品ライン

ロロ・ピアーナは、以下のような製品を展開しています:

  1. ストールやセーター:軽く温かな繊維を使用し、上質で滑らかな肌ざわりと軽さ、贅沢な艶感が特徴です
  2. スーツ:メンズスーツのオーダーシステムがあり、最上級の生地からオリジナルスーツを作ることができます
  3. コート:ビキューナなどの高級素材を使用したものがあります
  4. インテリア製品:2007年にインテリア部門を設立し、室内用の上質な生地コレクションの発売を開始しました

 

生地の特徴

ロロ・ピアーナの生地は、風合いが柔らかく、"女性的"と表現されることが多いです代表的な生地コレクションには以下のようなものがあります。

 

  1. フォーシーズンズ:オールシーズン対応の最高級メリノウールを使用
  2. シルキーエアー:ウールとシルクのブレンド
  3. サマータイム:ウール、シルク、リネンの組み合わせ
  4. ジランダー:ニュージーランド産メリノウール使用
  5. ドリームツイード:4PLY構造で立体感のある生地
  6. タスマニアン:オーストラリア産メリノウールを使用

 

ビジネスモデル

ロロ・ピアーナは、原料の調達から生産まで一貫した生産体系を持ち、リラックス感のあるラグジュアリーで洗練されたアイテムを作り出していますまた、自社アイテムに使用する世界最高峰のテキスタイルは、他社ブランドに提供しないという一貫したポリシーを持っています

このように、ロロ・ピアーナは最高級素材へのこだわりと持続可能な生産方法、そして洗練されたデザインで、世界的に高い評価を得ている高級ファッションブランドです。

 

ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(Vitale Barberis Canonico)

ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(Vitale Barberis Canonico)は、イタリア・ビエッラ地方のプラトリヴェーロに本社を置く、1663年創業の老舗生地メーカーです。350年以上にわたり、高品質なウール生地を生産し続けており、世界最古のウール・ミル(紡績織物工場)として知られています。

 

歴史

同社の歴史は、1663年の『取り立て税共通記録』に、アイモ・バルベーロが税の一部を現金で支払い、残りを「サイア・グリザ(グレーの綾織物)」という生地で納めたことが記されていることに始まります。以降、13世代にわたり家族経営を続け、産業革命期には機械化を導入し、生産能力を拡大しました。第二次世界大戦後の経済ブーム期には、国際市場での地位を確立し、現在では世界中のファッションメーカーやテーラーと取引を行っています。

 

特徴

ヴィターレ・バルベリス・カノニコの特徴は、原毛の買い付けから染色、紡績、織布、仕上げに至るまでの全工程を自社で一貫して行う点にあります。これにより、高品質な生地を安定的に供給することが可能となっています。また、環境保護や労働環境の改善にも積極的に取り組んでおり、工場内の騒音対策や水の使用量削減、排水の完全浄化などを実施しています。

 

素材へのこだわり

同社は、オーストラリアの自社提携農場から最高品質のウールを調達し、厳選された原料のみを使用しています。さらに、サステナビリティへの取り組みとして、地元ビエッラ地方で自然放牧されたビエッレーズ種の羊毛を使用し、無染色や天然染料で仕上げた生地も提供しています。

 

生地の特徴

ヴィターレ・バルベリス・カノニコの生地は、クラシックでありながら現代的なデザインと高い耐久性を兼ね備えています。また、独自の技術により、軽量でしなやかな風合いを実現しており、スーツやジャケットに最適な素材として評価されています。

 

代表的なシリーズまたは製品ライン

同社の代表的な生地シリーズには、「ヴィンテージ」「リヴェンジ」「21マイクロンウール」などがあります。「ヴィンテージ」は、アーカイブからインスピレーションを得たクラシックなデザインが特徴で、「リヴェンジ」はSuper150'sのスーパーファインな原毛を使用した高級生地です。「21マイクロンウール」は、独自の太い繊維の原毛を使用し、耐久性と柔らかさを兼ね備えた生地となっています。

 

現在の経営

現在、ヴィターレ・バルベリス・カノニコは、創業家の13代目であるアレッサンドロ、フランチェスコ、ルチアが経営を担っています。同社は、サステナビリティへの取り組みを強化し、環境保護や社会的責任を果たす企業としての活動を続けています。また、最新の技術と伝統的なクラフツマンシップを融合させ、高品質な生地の提供を継続しています。



レダ(Reda)

レダ(Reda)は、1865年にイタリア北部のビエラ地方で創業された老舗の服地メーカーです。ビエラ地方は、豊富で清らかな水資源に恵まれ、ウール生産の中心地として知られています。

 

歴史

レダは、創業以来150年以上にわたり、高品質なウール生地の製造を続けています。産業革命期にはいち早く機械織機を導入し、毛織物工場として初めて高速織機を採用するなど、常に革新を追求してきました。

 

特徴

レダは、原毛の調達から紡績、織布、仕上げまでの全工程を自社で一貫して行う垂直統合型の生産体制を確立しています。これにより、高品質な生地を安定した価格で提供することが可能となっています。

 

素材へのこだわり

レダは、自社牧場で羊を飼育し、原料調達から生産までの全工程を徹底管理しています。また、摩擦や引き裂きの強度テストを行い、生地の耐久性を確認するなど、品質管理にも注力しています。

 

生地の特徴

レダの生地は、軽くて柔らかく、着心地が良いと評価されています。また、撥水性、防シワ性、ストレッチ性、ウォッシャブルなどの機能性を備えた生地も多く、日常使いに適しています。

 

代表的なシリーズまたは製品ライン:

  • シルキーエフェクト(Silky Effect): ウール100%でありながら、シルクのような光沢を持つ生地です。ドルフィン加工と呼ばれる特殊な仕上げにより、美しいツヤ感を実現しています。
  • アイスセンス(Icesense): 紫外線を遮断する特殊加工が施されており、通常のウール生地と比較して表面温度を下げる効果があります。夏場でも快適な着心地を提供します。
  • アット(Atto): 軽量で通気性が高く、撥水・防シワ・ストレッチ性を兼ね備えた多機能生地です。特に春夏シーズンに適しています。

 

現在の経営

レダは、環境保護にも積極的に取り組んでおり、染色工程で使用する水のリサイクルや、工場の稼働に太陽光エネルギーを利用するなど、持続可能な生産体制を確立しています。また、最新技術と伝統的な職人技能の両方を大切にし、高品質な生地を提供し続けています。

 

イタリアのスーツスタイルの魅力

イタリアのスーツも、当然ながらスーツ発祥の国・イギリスの流れを汲んでいます。バカンスでイタリアを訪れたイギリスの貴族が、現地の職人にスーツをオーダーしたことが始まりとされています。ただし、特徴は大きく異なります。 

 

イギリスのスーツの特徴は、ダンディズムを体現した重厚さです。対するイタリアのスーツの特徴は、中性的な軽やかさです。イタリアのスーツは、柔らかな生地が生み出す、ナチュラルかつエレガントなラインを特徴とします。イギリスのスーツよりも軽い着心地も魅力です。以上のほかでは、バルカポケット・本切羽使用の袖もイタリアのスーツを感じさせる特徴といえるでしょう。 

男性の色気を引き出してくれるイタリアのスーツ

イタリアは、イギリス、アメリカなどとならぶスーツ大国のひとつです。エルメネジルド・ゼニア、ロロ・ピアーナなどの高級スーツ生地メーカーがあります。イタリアのスーツの特徴は、ナチュラルかつエレガントなラインです。男性の色気を引き出してくれるスーツといえるでしょう。着心地の軽さも見逃せません。気になる方は、ワードローブに加えてみてはいかがでしょうか。

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