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結婚式で初めてのタキシード、気になる「マナーってどうする?」

結婚式や披露宴に招待されたとき、タキシードを着てみたいと思う男性は多いでしょう。タキシードは格式の高い礼服であり、凛々しく洗練された印象を与えることができます。しかし、タキシードには様々なルールやマナーがあり、普段着慣れないものだと戸惑ってしまうかもしれません。そこで、この記事では、結婚式でタキシードを着こなすために知っておきたい基本的な知識やポイントを紹介します。

 

目次

タキシードとは?

タキシードとは、男性が着用する準礼服の一種です。もともとはイギリスやフランスで、燕尾服を着用した際に喫煙タイムになるとスモーキングジャケットに着替えたことが始まりです。燕尾服の尻尾の部分をカットして、襟に光沢のある素材をあしらったものがタキシードです。

タキシードは白と黒でまとめるのが基本スタイルで、「ブラックタイ」と呼ばれます。ドレスコードで「ブラックタイ」と指定される場合は、タキシードを着用することを意味します。

 

タキシードの歴史

タキシードの起源は、19世紀後半のイギリスにあります。当時、男性は晩餐の席では燕尾服を着用し、その後の喫煙や談笑の席ではスモーキングジャケットと呼ばれる着丈の短いジャケットに着替えてくつろいでいました。このスモーキングジャケットは、色や柄が豊富で、ショールカラー(へちま襟)やピークドラペル(剣襟)などのデザインがありました。

 

1876年、当時のイギリス皇太子エドワード7世が、ヨーロッパのカジノで流行していたスモーキングジャケットに注目し、自分のスタイルとして取り入れました。彼は、燕尾服に似せた尾のないジャケットをディナージャケットと呼んでパーティーなどで着用しました。これがタキシードの原型となりました。

 

1886年、アメリカのニューヨークにあるタキシードパーク倶楽部で、正装舞踏会に出席したグリスウォルド・ロリラードという人物が、真っ赤なスモーキングジャケットを着用して話題になりました。これがタキシード事件と呼ばれる出来事です。彼は、その夏に訪れたヨーロッパで見た流行を取り入れたとされますが、周りの人たちは彼が燕尾服に着替えるのを忘れたと勘違いしました。この事件がきっかけで、アメリカではスモーキングジャケットをタキシードと呼ぶようになりました。

 

1900年代に入ると、タキシードは夜間の正礼装として世界中に認知されるようになりました。黒い蝶ネクタイやカマーバンドなどの小物が用いられるようになり、ブラックタイというドレスコードが定められました。また、ジャケットにはダブルブレストやノッチドラペル(折り返し襟)などのバリエーションが増えました。

 

1930年代以降は、白いタキシードや色柄もののカマーバンドや蝶ネクタイなどが登場しました。また、女性用のタキシードもデザイナーのイヴ・サンローランが発表するなど、ファッションとしても注目されるようになりました。

 

タキシードって昼に着てもいいの?

タキシードは、もともと夜の準礼服として定められていたもので、正礼装の燕尾服を簡略化したものです。そのため、タキシードは燕尾服に次ぐ格式が高く、結婚式やパーティーなどの正式な場で着用されます。欧米では式典と宴席が明確に区別されており、タキシードは基本的には夜間に着用するものですが、日本では時間帯によって服装を変える文化がなく、昼でもタキシードを着用することが多くなっています。特に結婚式では、新郎や新郎新婦の父親、主賓などがタキシードを着ることが一般的です

タキシードを昼に着る場合は、以下のポイントに注意しましょう。

 

ドレスコードを確認する

タキシードはフォーマルな衣装ですが、ドレスコードによっては不適切な場合もあります。例えば、「カジュアル」「スマートカジュアル」「ビジネスカジュアル」などの場合は、タキシードはオーバードレスになります。ドレスコードが指定されている場合は、それに従って服装を選びましょう。

 

明るい色や柄を取り入れる(ブラックスーツ、ネイビースーツなど)

タキシードの基本的な色はブラックやネイビーなどの濃い色ですが、昼間にモノクロカラーだと少し浮いてしまうことがあります。そこで、シャツや蝶ネクタイ、カマーバンドなどの小物で明るい色や柄を取り入れると、昼間にふさわしい華やかさを演出できます。ただし、主役よりも目立つような派手すぎる色や柄は避けましょう。

 

カマーバンドを着用する

カマーバンドはタキシードの小物の一つで、ウエストに巻く布製の帯です。カマーバンドは国際的に着用が義務付けられてきましたが、現在では省略可能なアイテムとして認められています。しかし、昼間にタキシードを着る場合は、カマーバンドを着用することでフォーマル度を高めることができます。カマーバンドの色は黒が基本ですが、小物と合わせて明るい色や柄を選ぶこともできます。

ただし結婚式にゲストとして参加する場合は新郎より格上にならないよう、カマーバンドは避けましょう。

 

心配であればディレクターズスーツを利用する

前述の通り、最近では、結婚式やパーティーなどのカジュアルなシーンでもタキシードを着用するケースが増えてきています。しかし、もしこの点への気遣いをアピールしたい場合はディレクターズスーツを利用する方が良いでしょう。ディレクターズスーツとは、黒色の背広とコールズボンの組み合わせの礼服です。アメリカではストロウラー、イギリスではブラック・ラウンジ・スーツとも呼ばれます。 

ディレクターズスーツは、昼の準礼装として定義されており、タキシードよりも格式が低いため、昼間のフォーマルなシーンではより適しています。

ディレクターズスーツは、黒無地のテーラードジャケットと、グレーとブラックのストライプ柄のスラックスを組み合わせたものが一般的です。結婚式やパーティーなどの昼間のフォーマルなシーンで着用されます。

 

タキシードの基本的なルール

タキシードにはジャケットやシャツ、パンツ、小物に至るまで様々なルールがあります。細かいようですが、ルールを守ることでTPOに合わせたスマートな着こなしができるため、事前に把握しておくことが大切です。特に結婚式のような正式なシーンでは、ルールを守って着用しなければなりません。

 

ジャケット

タキシードは男性の最高の礼装と言われていますが、その魅力を引き出すためには、ジャケットの選び方や着こなし方も重要です。タキシードのジャケットは、普段着用するスーツのジャケットとは異なり、フォーマルな場面にふさわしい特徴を持っています。では、具体的にどのようなジャケットを選べば良いのでしょうか?今回は、タキシードのジャケットの種類やポイントを紹介します。

タキシードのジャケットの種類

タキシードのジャケットは、大きく分けて2種類あります。それは、「シングル」と「ダブル」です。

 

◆シングル

シングルとは、ジャケットの前身頃に1列のボタンがあるタイプのことです。シングルはタキシードに最も相応しいとされるジャケットであり、最もフォーマルな印象を与えます。シングルには、襟元の形状によって「ショールカラー」と「ピークトラペル」があります。

 

○ショールカラー

ショールカラーとは、襟元が丸く滑らかにつながっているデザインのことです。ショールカラーはタキシードの原型であるスモーキングジャケットから受け継がれたデザインであり、伝統的でエレガントな雰囲気を演出します。ショールカラーは光沢のある素材(シルクが一般的)で仕立てられており、ジャケットと同じ色で揃えることが多いです。

 

○ピークトラペル

ピークトラペルとは、襟元が剣先のように尖っているデザインのことです。ピークトラペルは燕尾服から受け継がれたデザインであり、華やかでドレッシーな雰囲気を演出します。ピークトラペルも光沢のある素材(シルクが一般的)で仕立てられており、ジャケットと同じ色で揃えることが多いです。

 

◆ダブル

ダブルとは、ジャケットの前身頃に2列のボタンがあるタイプのことです。ダブルはタキシードに合わせる場合は珍しいデザインであり、ややカジュアルな印象を与えます。ダブルには、「ピークトラペル」と「ノッチラペル」があります。

 

○ピークトラペル

ピークトラペルは先ほど説明した通りですが、ダブルではより目立つデザインになります。ダブルのピークトラペルはボリューム感や存在感があり、個性的で洗練された雰囲気を演出します。

 

○ノッチラペル

ノッチラペルとは、襟元が直角に切れ込んだデザインのことです。ノッチラペルはビジネススーツやカジュアルスーツによく見られるデザインであり、タキシードに合わせる場合はあまり一般的ではありません。ノッチラペルはシンプルでナチュラルな雰囲気を演出します。

 

タキシードのジャケットのポイント

タキシードのジャケットを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

 

◆サイズ

タキシードのジャケットはサイズが合っていることが非常に重要です。サイズが合っていないと着心地や見た目が悪くなります。タキシードのジャケットは肩幅や胸囲だけでなく、袖丈や着丈もチェックする必要があります。肩幅は肩の骨と骨の間に合わせて、胸囲は胸の一番張り出した部分で測ります。袖丈は手首の骨が見えるくらいで、着丈はお尻が隠れるくらいが目安です 。

 

◆シルエット

タキシードのジャケットはシルエットにもこだわりたいところです。シルエットはジャケットの全体的な形やラインを表し、着用者の印象に大きく影響します。シルエットは自分の体型や好みに合わせて選ぶことが大切ですが、一般的には細身でフィット感のあるものがスマートで洗練された印象になります。また、ウエスト部分にくびれをつけることで、メリハリのあるスタイルになります 。

 

◆カラー

タキシードのジャケットはカラーにも気を配りたいところです。カラーはジャケットの色や柄を表し、タキシードの雰囲気や個性に大きく影響します。カラーは基本的に黒や濃紺などの濃い色で無地が無難ですが、最近では明るめの色や柄物も人気があります。カラーは自分の好みや場面に合わせて選ぶことが大切ですが、あまり派手すぎるものやカジュアルすぎるものは避けたほうが良いでしょう 。

 

 

シャツ

タキシードに合わせるシャツは、フォーマルな場面にふさわしい特徴を持っています。ピンタックや比翼という種類がありますが、どちらも白色や淡い色のブロードクロスの生地でウィングカラーの襟とダブルカフス仕様の袖を選ぶと良いでしょう。また、スタッドボタンやカフリンクスという装飾品をつけることで、より高級感や華やかさを演出することができます。

タキシードに合わせるシャツの種類

タキシードに合わせるシャツは、大きく分けて2種類あります。それは、「ピンタック」と「比翼」です。

 

◆ピンタック

ピンタックとは、胸元に細かいプリーツ(ひだ)が入ったシャツのことです。このプリーツは、胸元に表情を与えるだけでなく、動きやすさや着心地の良さも向上させます。また、プリーツの間にスタッドボタンという装飾品をつけることができます。スタッドボタンは、黒いオニキスや宝石などで作られた小さなボタンで、普通のボタンよりも高級感や華やかさを演出します。ピンタックは、タキシード専用のシャツと言えるほど、フォーマルな印象を与えます。

 

◆比翼

比翼とは、前立て(前ボタン)が見えないように隠されたシャツのことです。この仕様は、コートやジャケットなどにも見られるエレガントなデザインです。比翼は、ピンタックよりもシンプルでスッキリした印象を与えます。また、前立てが隠れている分、蝶ネクタイやカマーバンドなどの小物が映えます。

 

タキシードに合わせるシャツのポイント

タキシードに合わせるシャツを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

 

◆色

タキシードに合わせるシャツの色は、基本的に白色が無難です。白色は清潔感や高貴さを象徴する色であり、どんな色のタキシードや小物とも相性が良いです。他の色を選ぶ場合は、淡い色やパステルカラーなどがおすすめです。濃い色や派手な色は、フォーマルな場面では不適切とされることが多いです。

 

◆素材

タキシードに合わせるシャツの素材は、ブロードクロスが一般的です。ブロードクロスとは、表面がさらっとしている平織りの生地で、ドレスシャツの代表的な素材です。ブロードクロスは薄手で通気性が良く、肌触りも滑らかです。また、光沢感や張り感もあります。ブロードクロス以外にも、オックスフォードやピンポイントなどの生地もありますが、これらはカジュアルな印象を与えるので、タキシードには不向きです。

 

◆襟

タキシードに合わせるシャツの襟は、ウィングカラーが最もふさわしいとされています。ウィングカラーとは、襟先が前に折れており、首を囲むように襟が立ち上がったデザインです。ウィングカラーは、蝶ネクタイとの相性が抜群で、凛とした印象を与えます。ウィングカラー以外にも、レギュラーカラーやスプレッドカラーなどの襟もありますが、これらはビジネスシャツやカジュアルシャツに多く見られる襟であり、タキシードにはやや釣り合いが悪いです。

 

◆袖

タキシードに合わせるシャツの袖は、ダブルカフス仕様がおすすめです。ダブルカフス仕様とは、袖口が折り返されて二重になっている仕様で、カフリンクスという装飾品をつけることができます。カフリンクスは、袖口のボタンホールに貫通させて留める小さなアクセサリーで、オニキスや宝石などで作られたものがあります。カフリンクスは、袖口の装飾になるだけでなく、汚れを防ぐ役割も果たします。ダブルカフス仕様以外にも、シングルカフス仕様という袖口にボタンがついたシャツもありますが、これはカジュアルな印象を与えるので、タキシードには不向きです。

 

 

ネクタイ

タキシードの正式な着こなしには蝶ネクタイが必須です。素材はシルクサテンが好ましく、黒い色のものを選びます。また胸ポケットには白いチーフを挿すのもポイントです。二次会やカジュアルなパーティーなどでは色のあるチーフを利用して遊び心を演出するケースもあります。

タキシードに合わせるネクタイの種類

タキシードに合わせるネクタイは、大きく分けて3種類あります。それは、「レギュラータイ」、「蝶ネクタイ」、「クロスタイ」です。

 

◆レギュラータイ

レギュラータイとは、一般的な長方形の形をしたネクタイのことです。このネクタイは、ビジネスやカジュアルな場面でよく見られますが、タキシードに合わせる場合は、素材や色柄に注意が必要です。タキシードに合わせるレギュラータイは、光沢感のあるシルク素材であることが望ましく、色は白やシルバーなどの明るい色や、黒や紺などの濃い色がおすすめです。柄は無地かストライプが無難で、派手な柄や色は避けましょう。レギュラータイは、教会式などの厳かな雰囲気に合うネクタイです。

 

◆蝶ネクタイ

蝶ネクタイとは、襟元でリボン状に結ばれたネクタイのことです。このネクタイは、タキシードに最も相応しいとされるネクタイであり、最もフォーマルな印象を与えます。蝶ネクタイは、自分で結ぶ手結び式と、あらかじめ結ばれていて留め金で止める既製品式がありますが、手結び式の方が味わいがあります。蝶ネクタイは、形やサイズにも種類がありますが、基本的には顔の幅に合わせて選びましょう。色は黒が最も正統派であり、白や色物もありますが、カジュアルな印象になります。蝶ネクタイは、パーティーなどの華やかな場面に合うネクタイです。

   

 

◆クロスタイ

クロスタイとは、その名の通り前面で交差した形をしたネクタイのことです。このネクタイは、比較的新しいデザインであり、フォーマルではありませんが、上品で可愛らしい雰囲気を演出できます。クロスタイは、色や柄によって印象が変わりますが、基本的には明るい色や華やかな柄が多いです。クロスタイは、1.5次会などのカジュアルな場面に合うネクタイです。

 

タキシードに合わせるネクタイのポイント

ブラックタイというドレスコードが指定されている場合は、蝶ネクタイの黒を着用することがマナーです。この場合は、レギュラータイやクロスタイ、色物の蝶ネクタイは避けましょう。


ホワイトタイというドレスコードが指定されている場合は、蝶ネクタイの白を着用することがマナーです。この場合は、レギュラータイやクロスタイ、黒や色物の蝶ネクタイは避けましょう。


ドレスコードが指定されていない場合は、レギュラータイやクロスタイ、色物の蝶ネクタイなども着用できますが、結婚式のゲストの場合、新郎新婦よりも目立たないように控えめな色や柄を選びましょう。また、会場が屋外やカジュアルな場所であれば、明るい色や柄のネクタイもOKですが、会場が屋内やフォーマルな場所であれば、暗い色や無地のネクタイが無難です。

 

カマーバンド

タキシードといえばカマーバンドも重要な要素です。カマーバンドとは正装時に着用するウエストコートを簡略化したもので、ブラックタイ、カフスと並びタキシードの基本的なルールとして挙げられます。カマーバンドを着用することでウエストラインが上がりすっきりとした印象を与えられます。カマーバンドの色は蝶ネクタイと合わせる必要があります。「ブラックタイ」というドレスコードがあった場合、カマーバンドを着用していなければ正式なスタイルとはいえません。

 

カマーバンドとは?

カマーバンドとは、主にタキシードなどの正装で身に付ける腰回りの装飾品です。カマーバンドは英語で「cummerbund」と呼ばれ、その語源はペルシャ語で「腰巻き」という意味の「kamarband」から来ています。カマーバンドは腰に巻いて使うアイテムで、ベルトではなくサスペンダーと一緒に着用します。カマーバンドには上下があり、ヒダが上向きになるように付けるのが正しい付け方です

 

カマーバンドの役割と歴史

カマーバンドはタキシードに合わせる装飾品として現代では一般的ですが、その起源は20世紀初頭にさかのぼります。当時、イギリスがインドを植民地支配していた時代、現地で暮らすイギリス紳士たちは暑さ対策として、インド人が腹に巻いていたサッシュという布をヒントにしてカマーバンドを作りました。カマーバンドはベストの代用品として誕生したもので、ベストよりも涼しく着用できるだけでなく、チケットや貴重品を入れることができる隠しポケットも備えていました

カマーバンドはイギリス本国でも流行し、やがてタキシードの三種の神器(カマーバンド、蝶ネクタイ、カフス)の一つとして定着しました。カマーバンドはタキシードのウエストラインを高く見せる効果があり、すっきりとしたシルエットを作り出します。また、ジャケットのVゾーンから少し見えることで、色や素材のコントラストが華やかさを演出します。

 

カマーバンドの選び方と付け方

タキシードに合わせるカマーバンドを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

 

カマーバンドはジャケットの拝衿(光沢のある布で襟を装飾した部分)と同じ素材や色で揃えることが基本です。拝衿が黒ならカマーバンドも黒、拝衿が白ならカマーバンドも白というようにします。

 

カマーバンドはジャケットやパンツよりも一回り小さめに選ぶことが望ましいです。カマーバンドが大きすぎると、ジャケットの下からはみ出したり、パンツの上に乗っかったりしてしまい、見た目が悪くなります。

 

カマーバンドは腰に巻いて留金で止めますが、留金は左側にくるようにします。右側に留金がくると女性用のカマーバンドと間違われる可能性があります。

 

カマーバンドを着用する場合は、ジャケットを脱がないようにしましょう。カマーバンドはベストの代用品であり、ジャケットの下に着るものです。ジャケットを脱いでしまうと、サスペンダーが見えてしまい、カジュアルすぎる印象になります。

 

パンツ

タキシードで着用するパンツは裾がシングルで後ろ半分が斜めになっているモーニングカットタイプです。サイドに1本のラインが入っているのが特徴で、日本では1本のラインが正式です。パンツにはベルトループがなく、サスペンダーを使用してウエストの位置をキープします。

タキシードのパンツの種類

タキシードのパンツは、大きく分けて2種類あります。それは、「側章付き」と「側章なし」です。

 

◆側章付き

側章付きとは、パンツの側面に1本のシルクのラインが入ったパンツのことです。このラインは、側章(そくしょう)と呼ばれ、タキシード専用のパンツにしか見られない特徴です。側章は、パンツに縦のラインを作り出し、すっきりとした印象を与えます。また、ジャケットの拝衿(光沢のある布で襟を装飾した部分)と同じ素材や色で揃えることで、統一感や高級感も演出します。側章付きは、タキシードに最も相応しいとされるパンツであり、最もフォーマルな印象を与えます。

 

◆側章なし

側章なしとは、パンツの側面にシルクのラインが入っていないパンツのことです。このパンツは、ビジネスパンツやカジュアルパンツと同じようなデザインであり、タキシードに合わせる場合は注意が必要です。側章なしは、側章付きよりもシンプルでカジュアルな印象を与えます。また、ジャケットと素材や色が異なる場合も多く、コントラストが強くなります。側章なしは、タキシードに合わせる場合はデザインや色柄に気をつける必要があります。

 

タキシードのパンツのポイント

タキシードのパンツを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

 

◆サイズ

タキシードのパンツはサイズが合っていることが非常に重要です。サイズが合っていないと、着心地や見た目が悪くなります。タキシードのパンツはウエストや股下だけでなく、股上や裾幅もチェックする必要があります。ウエストはウエスト位置に合わせて調整するか、サスペンダー(吊りバンド)で吊ることで安定させます。股下は足首まで届く長さであることが望ましく、裾幅は靴にかかる程度であることが理想です。股上は深すぎず浅すぎずであることが大切です。

 

◆シルエット

タキシードのパンツはシルエットにもこだわりたいところです。シルエットはパンツの全体的な形やラインを表し、着用者の印象に大きく影響します。シルエットはお尻周りや太ももは適度にフィットさせて、膝から裾にかけてグッと絞りテーパードを効かせることもありますし、あえて細身にせず、ゆとりを持たせることでクラシカルなエレガントさを出すこともあります。シルエットは自分の体型や好みに合わせて選ぶことが大切です。

 

◆カラー

タキシードのパンツはカラーにも気を配りたいところです。カラーはパンツの色や柄を表し、タキシードの雰囲気や個性に大きく影響します。カラーは基本的にジャケットと同じ色で揃えることが無難ですが、ジャケットと異なる色でコントラストをつけることもあります。カラーは自分の好みや場面に合わせて選ぶことが大切です。

 

全身をまとめる上で大変重要な役割を担うのが靴です。タキシードではエナメルシューズもしくはオペラパンプスを履くのが正式です。エナメルシューズはタキシード同様夜間に履くための靴ですが、近年は日中でもエナメルシューズを選ぶケースも増えています。結婚式に参加する立場によっても選ぶ靴が変わるため注意しましょう。新郎は主役であるためエナメル素材のオペラパンプスがベストです。参列する側であればストレートチップシューズでも問題ありません。

 

タキシードに合わせる靴の種類

タキシードに合わせる靴は、大きく分けて3種類あります。それは、「エナメルシューズ」「オペラパンプス」「レザーシューズ」です。

 

◆エナメルシューズ

エナメルシューズとは、光沢のある素材で作られた紐付きの革靴のことです。そのつやつやした輝きは、タキシードと相性が良く、高級感や華やかさを演出します。エナメルシューズは夜の正礼装とされる燕尾服に対して、略式の礼装です。本来は18時以降に着用する夜会服でディナージャケットやスモーキングという別称もあります 。

エナメルシューズはタキシードに最も相応しいとされる靴であり、最もフォーマルな印象を与えます。特に黒のタキシードには、黒のエナメルシューズがおすすめです 。

 

◆オペラパンプス

オペラパンプスとは、紐がなく、スリッパのように履ける形状で、足の甲にリボンがついているデザインも多い靴のことです。オペラパンプスは元々はヨーロッパでオペラの観劇や夜のパーティーに参加する紳士が履いていた靴です 。

オペラパンプスはフォーマルシューズとしては文句なしの格式高くドレッシーな装いになりますが、ちょっと敷居は高いかもしれません。また、底が薄いこともあり、屋外やカジュアルな会場との相性はよくありません 。

 

◆レザーシューズ

レザーシューズとは、エナメル素材ではなく普通の革素材で作られた紐付きの革靴のことです。レザーシューズはエナメルシューズよりもシンプルでカジュアルな印象を与えます。また、色やデザインによって印象が変わりますが、基本的には黒や紺などの暗い色で無地かストライプが無難です 。

レザーシューズはカジュアルな場面にふさわしい靴ですが、タキシードに合わせる場合はデザインや色に気をつける必要があります。例えば、ドレスコードが指定されていない場合や、会場が屋外やカジュアルな場所であれば、レザーシューズを着用することもありますが、その場合はエナメルシューズよりも細身でシンプルなデザインのものを選びましょう。また、ドレスコードがブラックタイやホワイトタイというフォーマルなものであれば、レザーシューズは避けてエナメルシューズやオペラパンプスを着用することがマナーです 。

 

タキシードに合わせるアクセサリー

タキシードを着用する時はそれに合わせる小物も重要です。小物の選び方や着こなし方によって、タキシードの印象が大きく変わります。そこで今回は、タキシードに合わせる小物の種類や選び方をご紹介します。

 

ポケットチーフ

タキシードの胸元にはポケットチーフという小さな布を挿すことが一般的です。ポケットチーフはタキシードの印象を変えるだけでなく、着こなしのセンスや個性を表現することができるアイテムです。しかし、ポケットチーフの色や柄、挿し方によっては、タキシードの格を下げたり、場にそぐわない雰囲気になってしまうこともあります。そこで、タキシードに合わせるポケットチーフの選び方やコーディネートのコツを紹介します。

 

◆色

まず、ポケットチーフの色は着用するシーンやタキシードの色に合わせて選ぶ必要があります。結婚式や披露宴などのお祝いの席では、白やアイボリー、シルバーなどの明るく清潔感のある色がおすすめです。また、カラードレスに合わせてピンクやブルーなどのペールトーンも華やかで素敵です。ただし、黒や紺などの暗い色は葬儀や弔事のイメージが強いので避けましょう。ビジネスシーンでは、白やサックス(水色)など主張が激しすぎない色が無難です。赤や黄色などの原色は目立ちすぎて不適切に見える可能性があります。パーティーやカジュアルウェディングなどでは、少し派手な色でも問題ありません。ネイビーやグレーのタキシードには赤やイエローなどのアクセントカラーが映えます。ただし、見せる面積は控えめにしておきましょう。


◆柄

次に、ポケットチーフの柄ですが、無地やストライプ、ドット、チェックなど様々な柄があります。柄はタキシードやネクタイと合わせることでコーディネートの幅が広がります。柄の選び方には以下の3つの方法があります。

 

○ネクタイと同じ柄を選ぶ

ネクタイと同じ柄を選ぶ方法は最も簡単でポピュラーな方法です。ネクタイとポケットチーフが同じ柄だと統一感が出てお洒落に見えます。ただし、同じ柄でも全く同じ生地ではなく、素材感や光沢感が異なるものを選ぶとより高級感が出ます。

 

○タキシードやシャツと同じ色を含む柄を選ぶ

タキシードやシャツと同じ色を含む柄を選ぶ方法は少し上級者向けです。例えば、ベースがネイビーでチェックがブラウンのタキシードにはブラウンを含むストライプやドットのポケットチーフを合わせるという具合です。この方法ではタキシードの色を拾うことでコーディネートにまとまりが出ます。

 

○ネクタイやタキシードとは異なる柄を選ぶ

ネクタイやタキシードとは異なる柄を選ぶ方法は最も遊び心のある方法です。例えば、ネイビーのタキシードに赤いドットのポケットチーフを合わせるという具合です。この方法ではポケットチーフをアクセントにすることでコーディネートに個性が出ます。ただし、柄が多すぎるとごちゃごちゃした印象になるので注意しましょう。


◆挿し方

最後に、ポケットチーフの挿し方ですが、これもタキシードの印象を変える重要な要素です。挿し方にはいくつかの種類がありますが、代表的なものを紹介します。

 

○スリーピークス

スリーピークスは三角に折ったポケットチーフの頂点を少しずつずらして重ね合わせる方法です。この方法はフォーマル感が高く、エレガントな印象を与えます。結婚式や披露宴などではこの方法がおすすめです。

 

○パフ&クラッシュ

パフ&クラッシュはポケットチーフを中心からつまんで持ち上げてふわっと胸に挿す方法です。この方法はリラックスした雰囲気を醸し出し、ポケットチーフの表情が出やすいです。パーティーやカジュアルウェディングなどではこの方法がおすすめです。

 

○プレジデント

プレジデントは四角に折ったポケットチーフの一辺を少しだけ胸から出す方法です。この方法はシンプルでスマートな印象を与えます。ビジネスシーンやフォーマルな場ではこの方法がおすすめです。

 

カフリンクス

カフリンクスとは、シャツの袖口を留めるためのアクセサリーです。タキシードを着用する際には、カフリンクスも必要不可欠な小物の一つです。しかし、カフリンクスは色や素材、デザインによってフォーマル度や印象が異なります。タキシードに合わせるカフリンクスの選び方や着こなし方について、以下のポイントを押さえておきましょう。

 

◆タキシードには黒いカフリンクスが基本

タキシードは夜のフォーマルな場で着用する衣装です。そのため、カフリンクスも黒いものが基本となります。黒いカフリンクスには、オニキスや黒蝶貝などの黒い宝石があしらわれたものがおすすめです。オニキスや黒蝶貝は、光沢があり高級感があります。また、黒はどんな色とも相性が良く、タキシードの色やネクタイの色とも調和します。

 

◆カフリンクスとスタッドボタンは揃える

タキシード用のシャツには、胸元にボタンがありません。その代わりに、小さな穴が開いており、そこにスタッドボタンという装飾品を付けます。スタッドボタンは、シャツのボタンを隠すとともに、胸元を引き締める役割を果たします。通常は上から3つまで付けます

カフリンクスとスタッドボタンは、同じ色や素材で揃えるのがマナーです。例えば、オニキスのカフリンクスを付ける場合は、オニキスのスタッドボタンも選びましょう。これにより、全体的に統一感が出ておしゃれに見えます。

 

◆カフリンクスの形や大きさはシンプルで控えめに

カフリンクスはアクセサリーですが、あまり目立ちすぎると不適切に見えることがあります。特にフォーマルな場では、派手な色や柄、形や大きさのカフリンクスは避けましょう。例えば、動物や乗り物などのモチーフや、ロゴやイニシャルなどの文字入りのカフリンクスは不向きです。

カフリンクスの形や大きさは、シンプルで控えめなものが好ましいです。例えば、円形や楕円形などの基本的な形や、直径1.5cm以下程度の大きさが適しています。また、金属部分はシルバーやゴールドなどの無地で光沢のあるものが良いでしょう。

 

◆カフリンクスの挿し方は正しく

カフリンクスを付ける際には、正しい挿し方をすることが大切です。カフリンクスには、片方が固定されているタイプと、両方が動くタイプがあります。固定されているタイプは、カフリンクスの裏側にある小さな棒を回して、縦にしてから袖口の穴に通します。その後、棒を横に戻して固定します。動くタイプは、カフリンクスの両端を平行にしてから袖口の穴に通し、90度回して固定します。

カフリンクスを付けるときには、袖口の両面に同じ面が見えるようにします。例えば、オニキスのカフリンクスを付ける場合は、オニキスの面が手の甲側と手首側の両方に見えるようにします。これにより、手元がすっきりと見えます。

 

ブートニエール

タキシードとブートニエールの組み合わせは、新郎のフォーマルな装いをさらに引き立てるポイントです。しかし、ブートニエールの色やデザイン、付け方によっては、タキシードの印象を損ねたり、場にそぐわない雰囲気になってしまうこともあります。そこで、タキシードとブートニエールの選び方やコーディネートのコツを紹介します。

 

まず、ブートニエールとは何でしょうか。ブートニエールとは、フランス語で「ボタン穴」を意味する言葉で、タキシードやスーツの左胸にある襟のボタン穴に挿す花飾りのことです。ブートニエールには、結婚式やパーティーなどのフォーマルな場で着用するものと、デートやカジュアルな場で着用するものがあります。

 

フォーマルな場で着用するブートニエールは、基本的には白や黒などの落ち着いた色がおすすめです。また、花の種類もバラやカーネーションなどの定番的なものが無難です。ブートニエールは花嫁のブーケと同じ素材や色で揃えることが多く、統一感を出すことでお似合い夫婦感がアップします。ただし、ブーケが派手な色や柄だった場合は、ブートニエールは控えめにするか、ネクタイやポケットチーフと合わせるようにしましょう。

 

カジュアルな場で着用するブートニエールは、少し遊び心を出しても大丈夫です。例えば、青や赤などの鮮やかな色や、クローバーや梅などの個性的な花を選んだり、貝殻やパールなどの素材を使ったりすることで、コーディネートにアクセントを加えることができます。また、タキシード以外にもジャケットやコートに合わせてもおしゃれです。

 

次に、ブートニエールの付け方ですが、これもタキシードの印象を変える重要な要素です。付け方にはいくつかの種類がありますが、代表的なものを紹介します。

 

◆ボタン穴に挿す

ボタン穴に挿す方法は最も伝統的で正式な方法です。この方法では、ブートニエールの裏側にある小さな棒を回して縦にしてからボタン穴に通し、その後棒を横に戻して固定します。この方法ではブートニエールがしっかりと固定されるため、落ちる心配がありません。

 

◆ピンで留める

ピンで留める方法は最近ではよく見られる方法です。この方法では、ブートニエールの裏側にあるピンを使って、襟の上から下に向かって刺します。この方法ではブートニエールが目立ちやすくなりますが、ピンが見えてしまうことや、ブートニエールがずれてしまうことがあります。

 

◆胸ポケットに入れる

胸ポケットに入れる方法はカジュアルな場で使われる方法です。この方法では、ブートニエールをポケットチーフのように胸ポケットに入れます。この方法ではブートニエールが自然に見えますが、胸ポケットがない場合や、ポケットチーフと重ねる場合は注意が必要です。

 

ラペルピン

ラペルピンは、タキシードやスーツの左胸にある襟のボタン穴に挿すアクセサリーのことです。ラペルピンには、花や宝石、金属など様々な素材やデザインがあります。ラペルピンは、タキシードの襟元を華やかに飾るだけでなく、着こなしのセンスや個性を表現することができるアイテムです。

 

次に、ラペルピンの種類について見ていきましょう。ラペルピンには大きく3つの種類があります。それぞれに合ったシーンや使い方をご紹介していきます。

 

◆スティックタイプ

スティックタイプは、メインの飾り部分に長い針が付いており、ボタン穴から針を通し、針先を生地の表側に出して止めるタイプです。チェーンが付いているものもあります。スティックタイプは、エレガントで高級感のある印象を与えます。結婚式やパーティーなどのフォーマルな場ではこのタイプがおすすめです。

 

◆ピンズタイプ

ピンズタイプは、短いピンをボタン穴に通して裏で留めるタイプです。小ぶりでシンプルなものが多く、ラペルピンが初めての方やビジネススーツに合わせたい方におすすめです。派手すぎないので、カジュアルなジャケットにも合わせやすく普段使いとしても使用できます。

 

◆ブートニエールタイプ

ブートニエールタイプは、前出のブートニエールというラペルに挿す花をモチーフにしたラペルピンです。素材はシルクなどで作られており、程よいカジュアル感が出ます。オフの日やパーティーに向きますが、フォーマルな場には向きませんので注意しましょう。

以上がラペルピンの主な種類ですが、他にも動物や乗り物などのモチーフや、ロゴやイニシャルなどの文字入りのものなど、様々なデザインがあります。自分の好みやコーディネートに合わせて選ぶことができます。

 

最後に、ラペルピンの付け方ですが、これもタキシードの印象を変える重要な要素です。付け方にはいくつかのポイントがあります。

 

◆ボタン穴に挿す

ボタン穴に挿す方法は、ラペルピンの種類によって異なります。スティックタイプは、針の先端についている留め具を外し、ボタン穴に針を通します。針先の長さを調整し表に出し留め具を付ける。ピンズタイプは、裏側の留め具を外し、ボタン穴に針を通します。裏側の金具を取り付ける。ブートニエールタイプは、裏側にある小さな棒を回して縦にしてからボタン穴に通し、その後棒を横に戻して固定します

 

◆角度を調整する

角度を調整する方法は、スティックタイプやチェーンタイプで使えます。ラペルピンの角度を水平にしたり、斜めにしたりすることで、印象が変わります。水平にするとシンプルでスマートな印象になりますが、斜めにすると遊び心が出て個性的な印象になります。自分の好みやシーンに合わせて角度を変えてみましょう。

 

◆位置を決める

位置を決める方法は、ボタン穴がない場合や胸ポケットに入れる場合に使えます。ボタン穴がない場合は、襟の境目から3cm程度下に付けると良いでしょう。胸ポケットに入れる場合は、ポケットチーフと重ねる場合は注意が必要です。ポケットチーフとラペルピンの色や柄が合わないとごちゃごちゃした印象になるので、どちらか一方を主役にしてバランスを取りましょう。

 

時計

タキシードに合わせる時計は、タキシードの色や素材、デザインに合わせて選ぶことが重要ですが、それだけではなく、着用するシーンや目的にも応じて選ぶことが必要です。そこで、タキシードに合わせるおすすめの時計の選び方やコーディネートのコツを紹介します。

 

タキシードに合わせる時計の基本的なルールは、以下の3つです。

 

◆フォーマルな場では時計を付けない

これは、タキシードに限らず、モーニングコートやタキシードよりも格上のホワイトタイにも共通するルールです。フォーマルな場とは、結婚式や披露宴、パーティーなどのお祝いの席や、賞典式や講演会などの公的な席を指します。このような場では、時間を気にすることは失礼とされており、時計を付けることはマナー違反と見なされることがあります。また、時計は機能的なアイテムであり、フォーマルウェアの美しさやエレガンスを損ねるという考え方もあります。

 

◆付ける場合は薄型でシンプルなデザインのものを選ぶ

しかし、現代ではスマートフォンやスマートウォッチなどのデバイスが普及し、時間を確認することが当たり前になっています。また、時計は自分の好みや個性を表現するアクセサリーとしても楽しまれています。そのため、フォーマルな場でも時計を付ける人が増えています。もしフォーマルな場で時計を付ける場合は、以下の点に注意して選びましょう。

 

○薄型であること

厚みがあるとカフスからはみ出してしまい不格好に見えます。

 

○シンプルであること

派手な色や柄、形や大きさは目立ちすぎて不適切に見えます。

 

○二針か三針であること

多機能なクロノグラフやカレンダーは機能的すぎて不似合いです。

 

○デジタル表示でないこと

アナログ表示の方がクラシックで上品に見えます。

 

◆ベルトは黒革で金属部分はタキシードと同じ色にする

時計のベルトは、タキシードの色や素材に合わせて選ぶ必要があります。タキシードには黒革のベルトが基本となります。黒革はどんな色とも相性が良く、タキシードの色やネクタイの色とも調和します。また、革は高級感があり、金属やラバーなどの素材よりもフォーマルに見えます。ただし、革の種類や質感にも注意しましょう。光沢のある滑らかな革がおすすめで、ざらついた革や型押しの革はカジュアルに見えます。

 

時計の金属部分は、タキシードのボタンやカフスボタンなどと同じ色にすることが望ましいです。例えば、タキシードがシルバーのボタンやカフスボタンを付けている場合は、時計もシルバーの金属部分を選びましょう。これにより、全体的に統一感が出ておしゃれに見えます。

 

カジュアルウェアとしてのタキシード

タキシードは、男性の夜間の礼服として着用されるものですが、近年ではカジュアルウェアにも取り入れられてきています。タキシードをカジュアルに着こなす方法とはどのようなものでしょうか。

 

タキシードをカジュアルに着こなすには、本格的なタキシードをコーディネートでカジュアルダウンする方法と、カジュアルに作られたタキシード(カラータキシード)を取り入れる方法があります。

 

■カジュアルダウンする方法では、シャツやネクタイ、ウェストコート、ポケットチーフ、靴などのアイテムを色や柄のあるものに変えたり、ノーネクタイやノーカラーシャツなどを選んだりすることで、カジュアル感を演出します。

 

■カラータキシードでは、黒やミッドナイトブルー以外の色や素材で作られたタキシードを選びます。拝絹や側章といったタキシードの特徴もないものもありますが、それでもタキシードの雰囲気は残します。

 

タキシードをカジュアルに着る場合は、ドレスコードがないパーティーや結婚式などに限られます。公式な行事や会社主催のパーティーには向かないことがあるので注意が必要です。

 

タキシードのカジュアル化の歴史

1950年代

第二次世界大戦後の経済復興と社会変動の時代でした。ファッションにもその影響が表れ、男性の服装はよりカジュアルで個性的なものになりました。タキシードもその例外ではありませんでした。この時代には、色柄物のタキシードやクロス・タイ、フリル、レース、色物のシャツなどが用いられるようになりました。これらはピーコック革命と呼ばれるファッションの変化の一環でした。ピーコック革命とは、男性が自分の個性や感性を表現するために、派手な色や柄、アクセサリーなどを取り入れたファッションをするようになった現象です。この流れは1960年代にも続きましたが、その後は再び黒一色のタキシードに戻りました。

 

1970年代

ベトナム戦争やオイルショックなどの社会不安や反体制運動が起こる時代でした。ファッションにもその反映が見られ、男性の服装はより自由で実験的なものになりました。タキシードもその例外ではありませんでした。この時代には、上下白のタキシードにフリルシャツという組み合わせが花婿の衣装として流行しました。また、カリフォルニア・ブラックタイやテキサス・ブラックタイと呼ばれる着方が現れました。これらは、タキシードにカジュアルな要素を加えた着方でした。例えば、カリフォルニア・ブラックタイでは、黒いジャケットとズボンに白いシャツと蝶ネクタイを着用し、足元は黒い靴ではなくカウボーイブーツを履くというスタイルでした。

 

1980年代

経済成長やグローバリゼーションが進む時代でした。ファッションにもその影響が表れ、男性の服装はよりビジネスライクでコンサバティブなものになりました。タキシードもその例外ではありませんでした。この時代には、1986年にタキシード100周年を記念して、普通のネクタイを組み合わせた取材陣が数多く見られました。また、日本では光物のアクセサリーなどをつけたディスコスタイルのタキシードも着られました。

 

1990年代以降

インターネットや携帯電話などの情報技術の発展や多様化が進む時代となりました。ファッションにもその影響が表れ、男性の服装はよりカジュアルで多様なものになりました。タキシードもその例外ではありませんでした。この時代には、色や素材やデザインにさまざまなバリエーションが出てきました。例えば、ベルベットやコーデュロイなどの生地や、ピンクや紫などの色や、ノッチドラペルやワンボタンなどのデザインが用いられるようになりました。また、女性もタキシードを着るようになりました。
日本では「略礼装」として一般的なブラックスーツやダークスーツを利用することも増えています。ただし、略礼装の定義は、日本独自のもので、海外には存在しません。招待状に「平服でお越しください」と記載がある場合には、略礼装で参加するのが一般的です。

 

礼服選びの迷い、オーダー vs 既製品 vs レンタル

特別なイベントや祝い事に出席する際、礼服の選択は悩ましいものです。一般的に、オーダー、既製品、そしてレンタルという3つの選択肢がありますが、一体どれが最適なのでしょうか?それぞれの特徴とメリットを考えてみましょう。

オーダーメイドの贅沢

オーダーメイドの礼服は、体のサイズやスタイルに完璧にフィットするため、最高のフィット感と独自性を提供します。生地やデザインも自分の好みに合わせられ、一生ものの特別な一着を手に入れることができます。しかし、製作には時間と費用がかかり、急なイベントには向かないこともあります。

既製品の手軽な選択

既製品の礼服は、多くの場合、手頃な価格で即座に手に入るため、急な招待にも対応できます。ショップで試着して選ぶことができ、幅広いデザインやサイズが揃っています。ただし、サイズの調整が必要な場合があり、完璧なフィット感を得るには少し手間がかかることもあります。

レンタルの手軽な利用

レンタルは、特別なイベントごとに新しいスタイルを楽しむ手軽な方法です。オーダーよりも手軽に利用でき、既製品と比べても費用を節約できます。ただし、他の誰かが同じ服を着る可能性があるため、独自性に欠けるかもしれません。

 

特別な日にふさわしい一着を見つけるためには、時間と予算、そして自身の価値観を考慮することが重要です。オーダーは特別な体験となりますが、必要な日までの時間的制約など、その都度のシーンや目的に応じて柔軟に選ぶことが大切です。どの選択をするにせよ、最終的には自分らしい輝きを放つ一着を見つけることが肝要です。

 

まとめ

結婚式で初めてタキシードを着る場合は、様々なマナーに気をつける必要があります。しかし、マナーを守れば、自信と品格を感じられる素敵な一日になるでしょう。結婚式では新郎新婦や他のゲストともコミュニケーションを楽しみたいものです。そのためにも、服装や身だしなみに気を配り、礼儀正しく振る舞うことが大切です。

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